事例15:後遺障害12級・過失10%・主婦→交渉により1250万で示談できたケース
相談者・依頼者 事故類型 | 30代女性 土浦市 事故当時主婦 駐車場内歩行中に車に轢かれた事故 |
傷病名 治療期間・実日数 | 左脛骨腓骨骨幹部開放骨折 入院29日 通院503日間(実日数31回) |
相談・依頼時の状況 | 事前認定併合12級が出た段階で来所。 等級妥当性確認及び増額交渉を受任。 |
後遺障害等級 | 足関節の機能障害12級7号 膝関節の機能障害は非該当 足趾外側(腓腹神経領域)知覚異常14級 |
弁護士の活動・ポイント | ●等級の妥当性確認 相保から一件資料取付 ・膝関節可動域=対健側3/4未満=非該当やむなし ・足趾神経障害=画像所見なく14級やむなし ●増額交渉 交渉で利益最大化かつ早期解決方針 →基本過失割合10%の代わりに損害額を裁判基準100%獲得 |
結果 | 1250万(等級確定前受任のため呈示はなし) |
弁護士費用特約 | あり、自己負担0円 |
その他 |
1 相談・依頼のきっかけ
事加害者側保険会社から事前認定併合12級の通知が届いた時点で、等級が妥当なのか、異議申立した方がいいのかを相談するために来所されました。
認定理由(別紙)をみただけで、非該当部分は関節可動域制限の数値を充たしておらず、14級部分も画像所見がないとのことでしたので、等級自体は妥当(非該当部分の神経症状で14級が追加できたとしても14級では併合による等級繰り上げがないため実益なし)と見込まれましたが、LAC協定社の弁護士費用特約があり、お仕事も始められていて保険会社との交渉も負担になるとのことで、その場で等級確認と賠償額交渉をご依頼いただきました。
2 弁護士の活動
直ちに加害者側保険会社から一件資料を取り付け、異議申立の実益がないことが確認できました。
賠償交渉については、加害者側保険会社が、外資系や通販系ほどではありませんが国内大手(代理店型)では支払いが厳しい会社だったため、難航が予想されましたが、人身傷害特約の内容(提訴により過失相殺分も回収できること)を確認できましたので、訴訟も念頭に置きつつ強気に交渉できました。
一方で、依頼者様としても、それなりに適正な金額であれば訴訟までは望まないとのご意向でしたので、満額でなければ訴訟も辞さないという「ムチ」一辺倒ではなく、お互いの譲歩による早期解決という「アメ」も出しながら、かなり腹を割った実のある交渉が出来ました。
結局、終わって見れば、相手方担当者にも恵まれ、本社決裁を要するため通常よりは時間がかかったものの、来所から2ヶ月余りで、依頼者様にもご満足いただけるよい示談が出来ました。
3 当事務所が関与した結果
主な損害項目 | |
治療費等 | 既払525万 |
休業損害(主婦) | 165万円 |
傷害慰謝料 | 136万円 |
逸失利益 | 824万円 |
12級慰謝料 | 290万円 |
過失相殺10% | -543万円 |
受取額 | 1250万円 |
4 弁護士の所感
加害者がどこの任意保険に加入しているかということは、本来、被害者にとって知ったことではないのでしょうが、示談交渉によって(訴訟提起しなくても)得られる賠償額に大きな差が出てしまうのが現実です。
例えば、外資系やネット通販系の場合、慰謝料は裁判基準の80%から譲らないことが多く、某共済の場合だとすぐに顧問弁護士が介入して治療打切りや低額提示をするため、適切な賠償を受けるためには訴訟提起が不可欠なケースが少なくありません。
しかし、このようなケースでも、弁護士費用特約がなかったり、人身傷害補償特約がついていなかったり、人身傷害補償特約があっても過失相殺分を訴訟提起により回収できる内容でなかったがために、満足のいく補償が受けられなかった依頼者様も少なからずいらっしゃいます。
本件でも、加害者側保険会社がそのような会社で、弁護士費用特約や人身傷害補償特約がなければ、交渉結果には数百万円もの差が出てしまったと思われます。
結局、加害者の任意保険会社を選べない以上、訴訟を起こさないと適切な賠償金を払わない会社に対して訴訟を起こす費用の心配・負担をしなくてすむように、また、過失相殺が避けられないケースでも十分な補償を受けられるように、弁護士費用特約や人身傷害補償特約の内容まで吟味してご自分の保険を選ぶことが、せめてもの自衛手段ということになるのだと思います。