事例9:むち打ち症・主婦、債務不存在確認訴訟を提起された後、被害者請求により14級を獲得し、過失相殺20%分の人身傷害保険金を含め365万円を回収したケース

相談者・依頼者 40代女性、土浦市在住、主婦
傷病名 頸椎捻挫・腰椎捻挫
相談・依頼時の状況 当初、車両時価交渉が難航したためご主人が来所。

相談の結果、車両保険使用が最善と判断し、人身事故に切り替え奥様の件を受任。

後遺障害等級 14級9号
弁護士の活動・ポイント 争点) 症状固定時期

経過) 9ヶ月で治療打切り通知→健保通院継続

→加害者から債務不存在確認訴訟(自認52万円)

→後遺障害診断書サポートの後

①14級獲得し(自賠責保険金75万円)、反訴

②裁判上の和解(200万円)

③人身傷害保険金から過失相殺分差額86万円支払い

結果 ①14級自賠責保険金75万

②裁判上の和解額200万(過失相殺20%)

③人身傷害保険金差額86万

受取額合計365万円

弁護士費用特約 ○、自己負担なし

 

1 相談・依頼のきっかけ

物件事故扱いのまま2ヶ月間、ご主人が保険会社と時価交渉をされたところ全く折り合えず、旧ホームページを見つけて相談にいらっしゃいました。

 

一時停止を見落とした車に衝突された事故で、ドライバーの感覚としてはもらい事故ですが、残念ながら基本過失割合は20%、時価額も、外車の人気希少車種でしたが、市場買取価格が車両保険金額を上回る立証は不可能なため(だからこそ高い保険料を払う訳ですが)、物損は対物及び車両保険を使うのがベストであることをご説明しました。

 

その上で、弁護士費用特約だけでなく、訴訟時の人身傷害支払額読み替え約款も確認できたので、怪我をされた奥様とお子様の件を受任することになりました。

 

お金の問題というよりも、加害者・保険会社の対応や過失割合に納得できないという面が強かったため、刑事記録を確保するため、人身事故届をお願いしました。

 

2 弁護士の活動

受任後半年余りは、保険会社との事務的なやりとりや診断書等の取り付け、依頼者との自覚症状・治療経過・傷害保険金請求の確認・アドバイス、刑事記録照会など、ごく一般的な(平穏な)経過をたどり、事故後9ヶ月で治療費を打ち切られました。

 

客観的にはそろそろ症状固定も考えられる状況で、以後の通院によっても慰謝料はさほど増額しない時期にかかってはいましたが、依頼者ご自身の愁訴がまだ強く、寒冷時の悪化も懸念され、健康保険を使用して治療を継続していただくことにしました。症状固定のタイミングとしては、健康保険を使用して損害拡大を防止していることもあり、依頼者ご自身の納得感が重要だと考えています。

 

しかし、冬真っ只中で、保険会社側代理人が介入し、債務不存在確認調停を起こされ、症状固定前のため応じられない旨の答弁をしたところ、直ちに訴訟提起されました。

 

ちょうど第一回期日ころには冬も終わり、依頼者ご自身の納得感も得られたため、直ちに後遺障害診断書サポート・被害者請求を行いました。神経根圧迫の画像所見はありませんでしたが、意見書には、神経学的説明が可能であることのほか、刑事記録を添付して受傷状況・衝撃の程度や回数などを補強し、無事14級が認定されました。

 

そこで、直ちに反訴を提起しましたが、症状固定時期を強く争われました。もっとも、症状固定日を打切り日としても、立替治療費や通院慰謝料・通院費の減額は多額ではなかったため、尋問を回避して早期解決するメリットを重視し、症状固定日を保険会社主張に譲る代わりに、損害額(とくに主婦休損)や調整金を認めてもらうことができ、症状固定日にこだわった場合よりも20万円程度有利な和解勧告を得ることができました。

 

3 当事務所が関与した結果

主婦 治療期間473日 通院実日数118回  過失20%

① 被害者請求による14級自賠責保険金: 75万
② 裁判上の和解額: 200万
③ 人身傷害保険金過失相殺差額: 86万
受取額合計: 365万円
債務不存在確認調停及び訴訟の加害者自認額は52万円(後遺障害を認めない前提、過失事案のため任意基準よりも高い自賠責基準を自認)なので、単純計算では7倍、300万円以上増額したことになります。
②の内訳は以下の通りです。

 

主な損害項目 結果
既払い治療費等 85万円
立替治療費等 0
文書料等 2万円
通院費 0万円
休業損害 43万円
傷害慰謝料 107万円
後遺障害慰謝料 110万円
逸失利益 79万円
総損害額 428万円
過失相殺20%減額 -86万円
填補:既払+自賠責 -160万円
損害填補後の残額 181万円
調整金 18万円
和解合計 200万円

 

 

4 弁護士の所感

人身傷害補償特約の支払基準は、通常、自賠責保険金と大差ない基準が定められていますが、裁判によって損害額と過失相殺減額が決まった場合、支払基準を裁判の額に読み替える約款を定める保険会社が増えていますので、ぜひご確認またはお問合せ下さい。

 

過失相殺事案では、既払い金を含めた総損害額に対して過失相殺されるので、結果(依頼者が獲得した金額)のうち、「人身傷害差額」部分には既払い金が多いこともプラスに作用しています。

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