死亡事故の特殊性
ある日突然、交通事故でご家族や大切な方を亡くされた悲しみは計り知れないと思います。
ご遺族の方は、そのような悲しみに加えて、各種届出・葬儀手配・相続関係手続のほか、さらに、①加害者本人・関係者、②刑事手続、③加害者側保険会社の対応などでお悩みになられている方もいらっしゃると思います。
1 加害者本人・関係者の対応
死亡事故でも、加害者に前科がない場合や、事故態様が極めて悪質な例外(酒気帯び・ひき逃げ・信号無視など)以外の場合など、意外に多くの場合、逃亡・罪証隠滅のおそれがないとして、加害者は3日以内の逮捕だけで釈放されます。
そこで、警察官や弁護人のアドバイスを受けた加害者が謝罪やお通夜・葬儀に訪れることも少なくありません。それ自体は、人として当然のことで、非難すべきではないかもしれません。
しかし、問題は、悲しみが癒えるはずもない事故直後に、加害者の訪問を受けること、話すこと自体が、ご遺族にとってとてもつらい負担となることです。また、加害者の弁解、態度によって追い打ちをかけられることも少なくありません。
当事務所でも、加害者への対応を弁護士に依頼したい、ということが、ご遺族からの相談のきっかけになることが多いと感じます。
2 刑事手続の対応
警察・検察庁では、ご遺族の被害感情や加害者・保険会社との示談経過などについて事情を聴き、調書がつくられます。1回ずつで済むこともあれば、示談交渉が進まず、何度か呼ばれることもあります。また、事故原因・加害者の過失などの詳細が不明の場合も少なくありませんが、この聴取の際に捜査状況・見通しなどをある程度教えてもらうことになります。
手続自体は検察官から説明がありますが、どうするのがよいか、よく分からない場合は、弁護士に相談いただくのがよいと思います。
3 加害者側保険会社の対応
・過失割合について
死亡事故に限らず、損害賠償額は過失割合によって、大きく異なります。
死亡事故の場合、被害者はお亡くなりになられているため、過失割合の基礎になる事故状況について、加害者の言い分だけを基に被害者に不利な内容で計算されることがあります。
このような場合、捜査段階からある程度情報を得ておくことや、刑事記録謄写が必要になります。
・慰謝料・逸失利益の計算について
慰謝料(遺族固有の慰謝料も含む)や逸失利益の計算が適切に行われていないことが往々にしてあります。詳細は以下をご参照下さい。
※ 各種届出・葬儀手配・相続関係手続
これも期間制限があるなど、ご遺族にとって最も慌ただしく大変な負担となります。
個別事情や市区町村により異なりますが、ご参考までに、代表的なものを一部列挙してみました。当事務所でも協力税理士・社会保険労務士・行政書士がおりますので、詳細が必要な場合はご相談時にお申し出下さい。
・葬儀社へTEL
・病院で死亡診断書か死体検案書を受け取り
・死亡届・火葬許可(死亡診断書添付、7日内、故人の住所地の役場)
・世帯主変更届・児童扶養手当等(14日以内)
・国民健康保険喪失・変更
・介護保険・後期高齢者資格喪失
・年金受給者死亡届
<契約解除・契約者変更>
・クレジットカード・電気・ガス・水道・NHK・インターネットプロバイダ・新聞・雑誌
<請求手続>
・国保等に葬祭費等の請求
・国民年金に死亡一時金の請求(厚生年金・共済年金は遺族厚生年金・遺族共済年金)
・労災の場合は勤務先か労働基準監督署に労災葬祭料・遺族給付
・生命保険加入の場合は保険金請求
<相続関係>
・遺言・相続財産の調査
・遺産分割協議書の作成
・預金・不動産などの名義変更
・故人の所得税準確定申告(4ヶ月以内)
・相続税の申告(10ヶ月以内)