事例12:むち打ち症・14級・主婦、提訴により過失相殺10%分人傷差額と合わせ325万円回収したケース
相談者・依頼者 事故類型 |
30代女性、土浦市在住、主婦 |
傷病名 治療期間・実日数 |
外傷性頚部症候群 330日間・146回 |
相談・依頼時の状況 | 過失と車両時価交渉が難航し来所。相手不起訴見込みで無過失立証は困難、車両保険使用が最善と判断、人身のみ受任。 |
後遺障害等級 | 14級9号 |
弁護士の活動・ポイント | 争点) 症状固定時期 経過) 8ヶ月で治療打切り通知→3ヶ月健保通院継続 →後遺障害診断書サポート→14級獲得 →加害者を提訴 →裁判上の和解 →人身傷害保険金過失相殺分差額支払 |
結果 | ・和解額270万(過失相殺10%+素因減額10%) ・過失相殺減額分の人身傷害保険金差額55万 受取額合計325万円 |
弁護士費用特約 | ○、自己負担なし |
その他 | 詳しくは過失相殺と人身傷害保険の使い方をご覧ください>> |
1 相談・依頼のきっかけ
センターラインがない道路の対抗四輪車同士の事故で、過失と車両時価交渉が難航し来所されました。
相手不起訴見込みで無過失立証は困難であったことと、時価額+買換諸費用の立証見込みと車両保険支払見込みを比較した結果、明らかに車両保険使用が最善と判断できたため、人身のみ受任となりました。
2 弁護士の活動
通院先の選び方や早期MRI撮影をアドバイスした上で、自宅から比較的近い病院に通院して頂きましたが、依頼者ご自身の愁訴が未だ強いにもかかわらずお医者さんには理解してもらえず、セカンドオピニオンや転院を繰り返さざるを得なかったところ、加害者側保険会社は事故後8ヶ月で治療費一括対応の打切りを通知してきました。
客観的には症状固定も考えられる状況でしたが、依然として愁訴が強く再度転院を検討せざるを得ない状況でしたので、健康保険を使用して治療を継続していただくことにしました。
3ヶ月後、診療録やMRI画像の推移から既往症減額のリスクはあるものの14級獲得自体は事前認定で問題ないと判断されたため、後遺障害診断書サポートの上、予定どおり14級が認定されました。
保険会社と交渉したところ、過失も損害額も全く折り合えなかったため、直ちに加害者を提訴しました。
保険会社の代理人は、ヘルニアは殆ど交通事故によって起きないという一般論だけを根拠に、打切り後の治療費等も後遺障害そのものも否認するなど、かなり強硬な主張を繰り返し、予備的に既往症減額50%も主張してきましたので、準備書面で詳細に反論し、電話会議でもかなり激しくやり取りしましたが、裁判長は「うーん、難しい問題ですね」と言うだけで、少し焦りました。
結局、原告側から常識的な落し所と思われる和解案+αを出し、被告側から再度極めて厳しい対案が出て、これに対する意見と譲歩案を出して、和解期日当日に保険会社担当者同行の上で譲歩案のとおり和解成立となりました。
3 当事務所が関与した結果
・和解額270万(過失相殺10%+素因減額10%)
・人身傷害保険金差額55万
受取額合計325万円
4 弁護士の所感
人身傷害保険金の支払基準はほぼ自賠責と同じですから、自分に過失がない事故(もらい事故)の場合は余りメリットは感じられません(加害者が任意保険未加入の場合に面倒な被害者請求をしなくてもよいことと、要介護の高度後遺障害の場合に保険金額を高額に設定していたとき位でしょうか)。
むしろ、直進対右折車など、裁判基準では自分にも過失が出てしまうことが避けがたい事故のときにこそ、弁護士費用特約とセットで契約していてはじめて、自己負担なく訴訟提起することで威力を発揮すると感じます。私自身も当然そのような契約にしています。
ただし、お付き合いなどの関係でJA共済に加入されている場合は、過失相殺減額分を人身傷害保険金で補償する約款になっていないようなので、ご注意下さい。