事例17:10級10号580万呈示→交渉で2倍超1311万に増額したケース

相談者・依頼者

事故類型

60代女性 県南地域
徒歩通勤中に車にはねられた事故

傷病名

治療期間・実日数

左上腕骨骨折、骨盤骨折
入院100日 通院323日間(実日数50回)
相談・依頼時の状況 相手保険会社から事前認定結果・賠償提案が届いた段階で、ご長男が保険代理店様に相談され、代理店様のご紹介で来所。
等級妥当性を確認し、増額交渉等を受任。
後遺障害等級 左上腕骨骨折後の肩関節の著しい機能障害について、10級10号
弁護士の活動・ポイント 弁護士費用特約の適用範囲・約款改定と事故の先後を確認
交渉で利益最大化かつ早期解決方針
最終段階で労災給付との調整で難航したが労基署の協力を得て
約1ヶ月半で2倍超に増額合意
結果 受任前呈示580万 → 1311万(2倍超、730万増) 
弁護士費用特約 なし
その他  

 

1 相談・依頼のきっかけ

相手保険会社から、事前認定10級の通知と580万円の賠償提案(後遺障害部分は自賠責保険金限度額どおり461万円)が届いた段階で、ご長男が知人の保険代理店様に相談され、代理店様のご紹介で来所されました。

 

骨盤骨折後の下肢短縮は、後遺障害診断書上0.5cmと記載されているため、1cm以上を要件とする13級8号には該当せず、併合による等級繰り上げがないことが確認できたため、事前認定結果にしたがった増額交渉を依頼いただきました。

 

弁護士費用特約の有無については、依頼者様ご本人の保険代理店(ご紹介代理店様とは全く別の自動車ディーラー)に何度か確認いただきましたが、二転三転し、保険会社に問い合わせてもらった結果、適用範囲拡大する約款改定事故前に行われたものの、当該保険契約が3年更新タイプであったため、更新前の事故には適用されないということが判明しました。弁護士費用を自己負担しなければならないかどうかは、依頼者様の最終的な経済的利益に大きな違いが出てしまうことは当然ですが、相手方保険会社が不誠実な場合に訴訟提起できるかという方針にも重大な影響を及ぼしてしまいます。ご紹介いただいた代理店担当者様であれば、このような重要な約款改定の把握や契約切替え等の事前案内もできたであろうと考えると、非常に残念でした。

 

そうはいっても、後悔させるようなことばかり言っても仕方ありませんので、とにかく、速やかに交渉に着手し、できるだけ適正な請求額に近づけるよう最終回答を引き出した段階で、訴訟を起こすかどうかを検討することにしました。

 

2 弁護士の活動

休業損害は、パート収入に基づき既払いでしたが、受傷後は1日も出勤できないまま退職されており、家事労働への影響も非常に分かりやすいケースでしたので、いわゆる主婦休損として期間を3分割して合理的な算定を行いました。

 

なお、兼業主婦について、赤い本には「現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出する」と書かれていますが、パート等をほとんど欠勤していないような場合は、家事労働の支障も大きくないはずだということで、平均賃金額という高い単価で治療期間や実日数に応じた高額賠償を得ることは困難になってきていることに留意しておく必要があると思います。

 

また、依頼者様は70歳目前でもあるため、休業損害・逸失利益いずれの基礎年収も、当初の請求は平均賃金額ベースで行いつつも、最終的に80%程度が示談ラインになることは織り込み済みでした。

 

傷害慰謝料・後遺傷害慰謝料は、当然、裁判基準で請求しつつも、総額との兼ね合い、とくに賠償額に占める比率が最大となる逸失利益をある程度認めてもらうことと引き換えに10%程度の譲歩を提案し、相手方保険会社の稟議待ちに1ヶ月余り要しましたが、交渉自体は比較的順調に進みました。

 

最終段階で、労災給付直前であることが判明し、調整に若干手間取りましたが、労基署担当者の協力を得られ、保険会社担当者の誤解を解くことが出来ました。

 

3 当事務所が関与した結果

主な損害項目 サポート前 サポート後 増加額
休業損害 1,350,000 2,200,000 850,000
障害慰謝料 1,100,000 1,970,000 870,000
逸失利益 2,180,000 5,200,000 3,020,000
後遺障害慰謝料 2,000,000 4,950,000 2,950,000
受取額 5,800,000 13,110,000 7,310,000

 

4 弁護士の所感

弁護士費用特約や人身傷害補償特約の適用範囲、補償内容が保険会社ごとに異なり、同じ保険会社でも約款改定が行われるなど、極めて難解になっています。

 

保険の基本的構造として、保険料と補償のバランスを各自の価値判断で選択するのですが、保険料が安くなれば手厚い補償は期待できないため、私自身はネット系・通販系は避けてきました。それでも、従来の代理店型保険会社であっても、保険会社によってかなり違いを感じますし、今回の件では、どの代理店(担当者)様に頼むかが重要だと痛感しました。

 

私自身は、複数の大手保険会社乗り合いの現代理店担当者様に今後もお世話になろうと思いました。

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