事例14:12級299万提示が異議申立により併合11級となり1616万に増額したケース

相談者・依頼者 事故類型 30代男性 県西地区 自営業
知人車両に同乗中の自損事故
傷病名 治療期間・実日数 左橈骨及び尺骨遠位端骨折
右大腿骨転子下骨折、鼻骨骨折、肺挫傷
入院156日 通院1077日間(実日数38回)
相談・依頼時の状況 後遺障害診断書ができた段階で来所。弁護士費用特約がなく、カルテ等詳細も不明のため、ひとまず事前認定を待つことに。
→事前認定12級で299万円提示(好意同乗減額30%)
→異議申立と増額交渉を受任。
後遺障害等級 事前認定=左尺骨遠位端骨折後の変形障害のみ12級
異議申立後=左示指の機能障害12級追加=併合11級
弁護士の活動・ポイント ●異議申立
カルテ等取付→手関節機能障害は厳しいが示指機能障害を本命化→医師意見照会→本命示指12級追加により併合繰り上げ11級
●増額交渉
事故後4年間休業補償既払い(過大)、弁護士費用特約なし
→交渉で利益最大化かつ早期解決方針
→裁判基準80~90%受取を目指し交渉
結果 受任前呈示299万 → 1616万(5倍、1317万増)
弁護士費用特約 なし
その他  

 

1 相談・依頼のきっかけ

事故後3年半で後遺障害診断書を作成され、記載の適否、等級・賠償額の見通し等を知りたいということで、無料相談にいらっしゃいました。

 

後遺障害診断書上は、手関節の可動域制限が10級に該当する一方、8級には該当し得ないこと、再診を依頼する場合のポイント、10級と8級の賠償額の差(概算)、弁護士費用概算・進め方等をご説明し、ひとまず事前認定の結果を待つことになりました。

 

事前認定の結果は、手関節の可動域制限は非該当、変形傷害12級だけでした。

 

実は、後遺障害診断書上の可動域計測数値が要件を充たす場合でも、治療経過から可動域制限の原因となる器質的損傷が不明確であれば、受傷と可動域制限の因果関係を証明できず、非該当とされるケースは少なくありません。

 

また、既払い治療費・休業損害等だけで約1800万円の事案であるため、好意同乗減額30%との主張の結果、300万円に満たない低額提示でした。

 

そこで、異議申立とその後の増額交渉を完全成功報酬契約でご依頼いただきました。

 

 

2 弁護士の活動

2つの病院からカルテ・リハビリ記録を取り付け、手関節と示指に絞って治療経過の一覧表を作成しました。

 

その結果、事故後1年弱の手関節内部固定期間は、可動域が12級に満たない程度に確保されていたにもかかわらず、2年経過以降は病院の方針でリハビリが中止され、1~2ヶ月毎の経過観察しか行われていなかったことが判明しました。

 

残念ながら、筋・腱の癒着はMRIでも術前3DCTでも描出・特定が困難でしたから、これでは、可動域制限の原因は(被害者の責任ではないにせよ)リハビリ不足との指摘を許すか、むしろ症状固定時期は事故後2年が妥当である(訴訟になれば2年分の休業損害は慰謝料等に充当すべき)との主張を許しかねず、厳しい状況でした。

 

 

そこで、主治医に対する照会書では、手関節の可動域制限の原因が関節拘縮等の器質的損傷といえるのではないかをできるだけ聞きつつも、より再手術時の状況から癒着した伸筋腱が特定できる示指の可動域制限について、当初は保険のつもりでしたが最終的には本命化することにしました。

 

 

異議申立の結果は、やはり手関節の機能障害は非該当のまま、左示指の機能障害12級10号だけが追加され、手関節の変形傷害12級8号と合わせ、併合11級となりました。

 

形式的には、自賠責紛争処理機構への申請という方法も残されてはいますが、調査事務所の関節可動域に関する非該当理由が同機構の見解・基準を受けたものと推認され、前記カルテ等の治療経過を考えると、等級変更は期待できませんでした。

 

また、訴訟提起するにも、弁護士費用特約がないこと、既に事故後4年を超えていること、前記症状固定時期や既払い休業損害のリスクがあることを考慮せざるを得ませんでした。依頼者様も、休業損害内払を続けてくれた保険会社担当者には感謝されていて、あまりもめたくはないということでしたので、結局、併合11級のままできるだけ増額交渉することになりました。

 

 

交渉では、好意同乗減額が妥当でない旨の刑事記録その他の証拠を引用し、個別の損害項目については裁判基準満額を主張しつつ、総額(受取額)として裁判基準の80~90%を目指し、1週間で依頼者様にもご満足いただける金額で合意できました。

 

3 当事務所が関与した結果

主な損害項目 サポート前12級 サポート後11級 増加額
休業損害 既払1219万
傷害慰謝料 186万円 258万円 72万円
逸失利益 431万円 1030万円 599万円
後遺障害慰謝料 120万円 420万円 300万円
好意同乗減額 -519万円 -178万円 221万円
受取額 221万円 1616万円 1317万円

 

 

 

4 弁護士の所感

 

後遺障害等級について

 

主治医の回答は、手関節可動域制限も当然骨折の後遺症だとわざわざ書き込んでいただけるほど好意的なものでしたが、肝心なまとめ部分で誤解があり、訂正をお願いしました。

 

やはり、後遺障害の認定はあくまでも賠償法上の概念・論理であって、医学のプロにとってはかえって医学的常識や感覚とズレるのかも知れません。だからこそ、弁護士がそのズレに注意しつつ、橋渡しをすることが重要だと感じました。

 

早期解決について

結果的には、等級変更後は、1週間という短期間で妥当な解決が出来たと思います。
ただ、弁護士費用特約があれば、弁護士費用の分だけ依頼者様の手取額が増えるわけですから、その点だけが残念です。

 

 

 

当事務所の代表的な解決事例と
部位別後遺障害の紹介

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